女性と喫煙 ― 喫煙が胎児に及ぼす影響 ―


はじめに

 1997年に実施された日本たばこ産業株式会社の報告によると、喫煙率は男性が56.1%・女性が14.5%となっており、男性に比べると女性の喫煙率はまだまだ低いものとなっている。しかし、20代から30代の女性の喫煙率は増加傾向にあるといわれている。この時期は妊娠・出産・育児の時期であるだけに、胎児へのたばこの影響が心配される。

具体的にはどういう危険があるか?

 実際に、妊婦がたばこを吸うと、胎児の発育障害・妊娠障害・分娩時の異常が生じる危険性が高まることが明らかになってきた。
 具体的な胎児への影響としては、出生体重の低下だけではなく、身長・頭囲・胸囲などの身体発育全体の値が低下し、先天異常(口唇裂・口蓋裂・先天性心疾患など)の頻度が増加する。(図1参照)



 妊娠・分娩への影響としては、喫煙する妊婦では非喫煙者に比べて、早産および自然流産・周産期死亡の頻度が高くなり、胎盤早期剥離・前置胎盤・出血などの妊娠合併症の危険性も高くなる。(図1・図2参照)



たばこの有害物質
 たばこの煙の中には4000種以上の化合物があるといわれるが、そのうち特に胎児に影響あるものはおもに次のものである。
一酸化炭素 赤血球中のヘモグロビンは酸素と結びついて胎児の組織に酸素を運搬するが、一酸化炭素はヘモグロビンと結びつく力が酸素よりずっと強いため、肝心の酸素の方が運ばれなくなる。しかもこの一酸化炭素と結びついたヘモグロビンは、母体よりも胎児の方で量が多くなるといわれ、その被害は胎児の方が大きい。
ニコチン 血管を収縮させ、子宮・胎盤血流量の低下、絨毛間血流量の減少を起こし、胎児への酸素供給を減らして胎児の発育低下をもたらすといわれている。
ベンツピレン 発癌性、催奇形性がある


おわりに

 母親が吸ったたばこのなかのニコチンは母乳中に分泌される。しかも、その濃度は母親の血液中の濃度より高くなる。したがって、出産がすんだからといって喫煙をはじめてはよくない。
また、妊娠中の受動喫煙も胎児に影響を与え、出産後の小児の受動喫煙も肺炎や気管支炎の危険性を高める。このため家族全体の禁煙への意識が必要になる。
つまり妊娠は母親だけでなく家族全体が禁煙をするのによい機会だといえる。


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