インターネット講義:神経内科

ギランバレー症候群の診断基準

(Asbury AK et al. Criteria for diagnosis of Guillain-Barre syndrome. Ann Neurol 3:565, 1978)

I.診断に必要な特徴

A. 一肢以上の進行性の筋力低下:両下肢の軽微な筋力低下から四肢、躯幹の完全麻痺、球麻痺、顔面神経麻痺、外眼筋麻痺までその程度は様々で、軽い失調を伴うことも伴わないこともある。

B. 深部反射の消失:全身性の深部反射の消失が原則であるが、ほかの臨床症状に矛盾がなければ上腕二頭筋、膝蓋腱反射が低下し、四肢遠位部の深部反射の消失でもよい。

II.診断を強く支持する特徴

A. 臨床的特徴(重要順)

1.進行:筋力低下は急速に発現し進行するが、4週までには進行は停止する。約50%の例では2週までに、80%は3週までに、90%以上の例では4週までに筋力低下が最高となる。

2.比較的対称性:左右対称性に関しては絶対的なものではないが、通常一肢が障害された場合、対側も同様に障害されることが多い。

3.軽微な感覚障害の徴候を認める。

4.脳神経障害:顔面神経麻痺は約50%にみられ、しばしば両側性である。その他の脳神経の障害もみられ、とくに舌や嚥下筋の支配神経、ときに外眼筋の神経支配が障害される。また5%以下の症例では外眼筋支配神経やその他の脳神経障害で発症することがある。

5.回復:通常症状の進行が停止した後、2〜4週で回復し始めるが、数カ月も回復が遅れることもある。ほとんどの症例は機能的に回復する。

6.自律神経障害:頻脈、その他の不整脈・起立性低血圧・高血圧・血管運動障害などの存在は診断を支持するが、これらの所見は変動しやすい。これらの症状については、肺梗塞などの他の原因によるものを除外する必要がある。

7.神経炎の発症時に発熱を認めない。

非定型例(順不同):略

B. 診断を強く支持する髄液所見(蛋白細胞解離)

1.髄液蛋白:発症1週間以降で髄液蛋白が増加している。

2.髄液細胞:単核球で、10/mm3以下。

非定型例:略

C. 診断を強く支持する筋電図所見

経過中、症例の80%に神経伝導速度の遅延あるいは伝導ブロックを認め、伝導速度は正常の60%以下となることが多い。しかしすべての神経が均等に障害されるのではない。(以下略)

III. 診断に疑いをもたらせる所見

1.高度で持続性の非対称性筋力低下

2.持続性の膀胱または直腸障害

3.発症時の膀胱または直腸障害

4.髄液細胞が単核球で、50/mm3以上。

5.髄液細胞で多核球の存在。

6.明瞭な感覚障害レベル。

IV. 診断を除外する所見

1.揮発性有機溶剤の乱用した既往、塗装用ラッカー蒸気の吸入、接着剤の吸入など。

2.急性間欠性ポルフィリン症の診断を示唆するポルフィリン代謝異常。

3.最近の咽頭、皮膚のジフテリア感染の既往、臨床所見の存在。

4.鉛中毒性ニューロパチーに合致する臨床的特徴(非対称性の垂れ手を伴った上肢の筋力低下)。

5.純粋な感覚障害のみの徴候。

6.ポリオ、ボツリヌス中毒、ヒステリー性麻痺、中毒性ニューロパチー(例えば有機燐化合物)など。

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浜松医科大学第1内科