浜松医科大学産婦人科は産婦人科の教育、研究、診療にバランスよく力を注ぎ産婦人科学の発展に尽くしています。教育においては、学生、初期研修医に産婦人科の魅力を伝え、産婦人科医療に関心を持ってもらう事をモットーとしています。その成果として浜松医科大学には毎年コンスタントに多くの入局者があります。静岡県内で活躍する浜松医科大学産婦人科出身の専門医は150人近くになり、多数の指導医により優れた専門医の養成をしています。また県内の基幹病院の多くが浜松医科大学産婦人科の関連施設になっており、多くの症例を経験できることが当科における教育の強みであります。
 研究においては「一例一例の患者さんを大切にし、その患者さんから学んだことをしっかり研究し、その成果を多くの患者さんに還元すること」をモットーとしています。浜松医科大学産婦人科の研究で全国的に有名なものに羊水塞栓症の研究があります。羊水塞栓症の血清診断法を世界に先駆けて開発し、現在日本産婦人科医会の委託事業として全国から羊水塞栓症疑い症例の血清と臨床情報が浜松医科大学に送付されています。それらを解析しその結果を全国の医療施設に提供し、その情報は診断上極めて有意義なものとして重用されています。全国から寄せられた血清の解析によりC1インヒビター低下症が羊水塞栓症の病因、病態であることを見出しましたが、これは羊水塞栓症の治療に新たな扉を開く発見と言えます。早産は未熟児出生の最大の原因で周産期医療のもっとも重要な課題の一つです。私達は頸管粘液中顆粒球エラスターゼ測定による早産の早期診断法を開発し保険収載され、毎年30万人近い妊婦さんに使用されています。さらに切迫早産治療薬としてのウリナスタチン腟坐薬療法を開発し全国の周産期センターの多くの施設で使用されています。胎児モニタリングは浜松医科大学産婦人科の伝統的に強みのある研究分野です。平成27年には内診指接着型胎児オキシメーターを医療機器として国の承認を受けた。胎児に近赤外線のセンサーを装着する従前のものではなく、発想の転換で診察者の指にセンサーを装着し内診時に確実に胎児の酸素飽和度を測定できるものです。世界初の医療機器として今後普及していくことが期待されます。PAI-1欠損症患者の世界初の分娩成功例の報告から線溶系が妊娠維持に重要な役割を果たしていること、無フィブリノーゲン血症の妊娠分娩の取り扱い数は教室開講依頼の累積数は8例となり世界一であり、無フィブリノーゲンの妊娠時の取り扱い指針を世界に発信しています。腫瘍の血管をターゲットにした分子標的治療の開発、新規子宮内膜症治療薬の開発が大きな成果を上げています。子宮頸がんは40才未満の最大罹患頻度のがんです。初期病変では円錐切除が標準的で  あるが、子宮頸部を切除することによる流早産の増加が問題となっています。子宮頸部を切除せず完治を可能なレザフィリンを用いたPDTは近い将来円錐切除に変わるあたらしい治療法として光尖端医学教育研究センターと共同で開発しました。胎生期の低栄養がその後の生活習慣病に起因するというDOHaDの研究で小胞体ストレス緩和剤は世界初の新たなmetabolic syndrome の予防法として注目されています。
 診療においては産科部門では年間分娩数800を超え分娩数において常に国立大学の中で上位にあり、ハイリスク妊娠・分娩の搬送も多く、高度な周産期医療を提供しています。特に母体の出血性ショック、DICの管理については全国的にleading hospitalと言えます。日本周産期新生児学会の母体胎児専門医基幹施設、新生児専門医基幹施設になっており、静岡県における周産期医師育成の中心的存在になっています。また麻酔蘇生科と連携し、無痛分娩を積極的に行っています。産科部門は胎児に優しいウリナスタチン腟坐剤による切迫早産治療、羊水塞栓症におけるC1インヒビター療法などハイリスク妊娠分娩に対して高度な管理をおこなっています。婦人科部門ではすべての婦人科の腫瘍(良性・悪性)を扱っています。子宮内膜症、子宮筋腫、良性卵巣腫瘍には腹腔鏡下手術を積極的に行っています。子宮頸がん、体がん、卵巣がんの症例も多く、放射線科等と協力し集学的治療法を積極的に行っています。子宮頸がんの前癌状態である子宮頸部異形成には光線力学療法(PDT)を積極的に行っています。不妊部門では体外受精、顕微授精、凍結胚移植などを積極的に行っています。担癌患者の不妊治療も積極的に行っており卵子凍結、精子凍結も行っています。静岡県の生殖医療とがん医療を結ぶネットワーク(ソフネット)も当科が事務局となって活動しています。当科で開発した妊活サプリメントのエンゼルストークによる不妊症のサポートも積極的に行っています。
 浜松医科大学産婦人科は教室が誕生して40年が経ちました。今後も大学のミッションである教育、研究、診療、社会貢献を確実に進めていく所存ですので皆様のご支援、ご協力よろしくお願いいたします。




Copyright (c) Department of obstetrics and gynecology Hamamatsu University School of Medicine All Rights Reserved.