浜松医科大学の特徴や精神科医療の将来性などを教授の森則夫がご説明させて頂きます。
精神科医という仕事を一言で言うのは、大変難しいですが、私が教室の先生方や患者さんにいつも言っていることは、心の病気も体の病気も同じだということ。心の病気だけが特別なものだと考える必要はありません。 心の症状、心理学的な症状が出るだけで、心臓だったら心臓の症状が出るのと同じことで、心だけを特別をとらえると、どうしてもそこに偏見が生じてしまいます。心の病気も体の病気も同じだと考えることにより偏見もなくなるし、科学的な進歩を受け入れることができます。このような捉え方をするほうが患者さんも精神科にかかりやすいし、患者さんとの接し方も変わります。 頭は体の器官の一部だと考え、特別に考えないことが治療をする上で大切です。
基本的には浜松医大の治療も、他の病院の治療も同じです。地域によって、医者によって医療のレベルが異なるということは患者さんや国民の健康を守れません。従いまして、トレーニングという点においても浜松医大のトレーニングと他の大学のトレーニングが特別違うはずもありませんし、違ってはいけないと思います。 ただし、ここの地域の特性はあります。気候が温暖である。大都市に囲まれている割には人口が400万人近い。国際的な企業が数多くあり活気があり、経済的にも豊かな県です。 入局(後期研修)の方々が毎年10名前後、それ以外にも県内の総合病院の部長や行政のトップに3名〜5名くらい来ていただいています。いったん卒業して精神科医になって、あらためてどこが働きやすいかと全国を見渡したとき、やはり静岡県が非常に働きやすいということを物語っているのではないかと思います。 静岡県で育って、外に出て行かれる方は少ないですが、他県から入ってこられる方は他の県と比較して多いと思います。静岡県は住みやすく、医療をおこないやすい地域だと思います。
皆さんが学生時代に学んだことはほんの入り口の小さな知識でしかありません。医学はものすごく幅が広くて、興味が尽きません。皮膚科と精神科と悩んで皮膚科に行った人は、精神科にくることはありません。いったん、その世界に入ってしまったら、入ったとたん眩いばかりの興味津々の世界から抜け出せない。それと同じように精神医学も入ると広大な夢のような世界が広がっています。いったんその世界に入ったら、そこから抜け出せない。これが医学の尽きない興味です。それぐらい医学は面白いものです。 これから精神科の患者さんは増えています。医療が進む中、新しい病が出てくるのは精神科だけです。文明が進歩して摂食障害が起こり、長寿になった結果アルツハイマーや認知症が起こり、文明社会になって色々なストレスが強まった結果PTSDが起こってきました。明らかに、しかも膨大な数で増えるのは精神医学だけです。医療が進み、文明が進み、そのとき精神医学だけは病の数、悩みが増えていきます。 その意味において、人類の未来のそうとう部分が精神医学にかかっています。精神医学は医学を担当しますが、人類の未来を担当するのです。精神医学を専攻する方の未来は明るいのです。
浜松医科大学精神科 教授 森 則夫