<第一外科 呼吸器外科グループ>

                                       

1) メンバー

鈴木 一也(前 第一外科助教授、医学博士)
高橋 毅
県内の総合病院に20名、その他7名
県外の総合病院に5名

    (平成19年6月現在)

   

2) 臨床

  年間約160〜170例の手術を施行しています。

  外来は水・金の午前、予めご連絡をいただければいつでも対応可.

   肺癌(*1)、転移性肺腫瘍、良性腫瘍、縦隔腫瘍、胸壁腫瘍、胸膜中皮腫、癌性胸膜炎、炎症性疾患(結核、真菌、気管支拡張症、肺化膿症など)、膿胸、嚢胞性肺疾患、気胸、肺気腫、胸郭異常(漏斗胸など)、横隔膜ヘルニア、びまん性肺疾患、外傷、その他あらゆる疾患を対象としています。

 (*1 術後の5年生存率は  1A期:90%、1B期:79%、2A期:68%、2B期:48%、3A期:41%、3B期:24%、4期:14% と全国的にも優秀な成績を示しています)



  特に力を入れている点は、

1. 無輸血手術(現在99%無輸血手術です)

2. 自己血成分の利用

   自己血を予め採取し、赤血球、蛋白、及びフィブリン糊の成分に分離しておきます。赤血球と血漿は手術時に本人に返します。

   フィブリン糊の成分は、生体糊として吻合部、縫合部に手術中に用います。自己血の成分ですから、安全で創傷治癒に有効であることを実験で確かめています。

3. 動物由来の素材や、人工素材をできるだけ使わない手術

   人工の素材は、一般に感染に弱く、傷の治りも自己素材と比較すると不良です。

動物由来の素材は、アレルギー反応や、感染症が心配です。我々は、できるだけ患者さん自身の自己素材を使用する方針で手術を行っています。たとえば、横隔膜を切除したら、本人の大腿筋膜を使って再建するような方法です。

   動物実験で、自己の素材が色々な点で優れていることを確認しましたので、数年前よりこの方針で行っています。

4.癌性胸膜炎に対する温熱化学療法

   癌細胞が胸腔内に散らばって、胸水が貯留するのが癌性胸膜炎です。肺のふくらみが妨げられ、呼吸が苦しくなります。よい治療法が確立されていませんが、我々は10年前から灌流による温熱化学療法を行っており、従来の治療法より有効であることが示されています。コンピュータ制御でポンプを回し、胸腔内を43℃に保つ局所治療で、抗癌剤による全身の副作用がほとんどない利点があります。

5.低侵襲手術

   患者さんにとって低侵襲な(傷の痛みが少なく回復が早い)手術を常に心がけています。内視鏡手術はもちろんのこと、従来の開胸手術もより低侵襲にすべく、器具の開発にも力を入れています。肺癌の根治手術ではわきの下を7-8cm切開する腋窩開胸で行っています。この開胸方法は術後の傷の痛みは少なく、手術中に術者は安全に(出血の対処も容易)手術操作が行えます。従来の背中を大きく切開する手術より体に与える影響が少なく、根治性や安全性を落としません。

6. 全身を管理する

   とかく専門領域のみの知識、技術に偏りがちな最近ですが、我が第一外科には呼吸器グループ以外に、心臓外科グループ、消化器外科グループ、乳腺外科グループ、小児外科グループがあり、お互いに協力しあって全身を管理しながら診療にあたります。

7. 必要十分なだけの検査、傷、投薬、入院期間

   大学病院では、実験の対象にされるという昔からの固定観念がありますが、そんなことは全くありません。余分なことは一切しません。

8. 最先端医療の導入

   最先端医療に対し積極的ですが、自ら実験などでその有効性を確認してから臨床に導入しています。

9. オーダーメードの医療、24時間体制

   患者さんやご家族と納得がいくまで話し合い(本当の意味でのインフォームドコンセント)、個人個人にあった医療を行うのが、我々の考える良い医療です。救急部との協力により当科で診療を受ける患者さんは24時間体制で対応します。

10. 県内の関連病院との連携

   我々第一外科出身の外科医が、多くの県内の主要な病院で勤務しています。遠方から浜松に来られる患者さんが多いので、県内の関連病院と連絡を密にとって、患者さんの管理を行います。遠方の方でも急な場合の対応が可能です。

 

3) 研究

   創傷治癒を向上させる自己生体糊の研究

   自己素材を用いた手術

   癌性胸膜炎に対する温熱化学療法

   肺癌の遺伝子解析

   自己培養線維芽細胞の臨床応用

   低侵襲手術のための器具、手術方法の開発

   人工気管、気管移植の研究

   肺移植、心肺移植に関する基礎研究

   術者の術中ストレスの解析

  

(文責:鈴木一也)