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季節で変わる魚の視覚世界 「視覚世界が変化する」とはどういうことでしょうか?生物は外界の中の自分が捉えることのできたものを寄せ集めて外界世界を頭の中で再現しています。外界は、生物の持つ情報収集のために特殊化した器官の中の細胞で捉えられます。においは嗅細胞で、音は聴細胞で、そして光は視細胞で捉えられます。 視細胞中で最初に光を捉えるのは、視物質です。視物質はタンパク質部分と視物質発色団★(発色団)で構成されます。私たち人間はこの発色団を1種類しか持っていませんが、魚類は2種類の発色団、retinal(A1)と3,4-didehydroretinal(A2)をもっています。魚では視物質中にある発色団が入れ替わることで、吸収スペクトル★が変化し、視細胞が捉えることのできる波長帯域が変化し、視覚世界が変化すると考えられています。 川に棲むウグイの発色団を年間を通して調べてみると、夏期にA1が増加し、冬期にA2が増加する季節変化が見られました。これらの結果は、夏期に比べて冬期には長波長域に対する感度が高くなる可能性を示しています。つまり、同じ風景を見ていても、異なった色調で見えている可能性があるのです。 では、なぜウグイは季節によって視覚世界を変化させるのでしょうか?いくつかの可能性が考えられます。例えば、冬には日の長さが短くなります。より幅広い波長に感度を持つことで薄暗くなってからも外界の光を捉えようとしているのかもしれません。また、夏期には植物プランクトンが増え、冬期には雪解け水が流れ込むなど、季節によって水中の光環境は変化します。季節による光環境の移り変わりの中でより多い波長の光を、ウグイは捉えようとしているのかもしれません。果たして正解は? 私たちはこの発色団の変化が動物にとってどんな理由で存在するのかを考えながら、この問題に取り組んでいます。 (用語説明) 視物質発色団:視物質のタンパク質部分に結合するビタミンA誘導体。視物質の反応性はオプシンのアミノ酸配列の違いと、発色団の違いによって決定される 吸収スペクトル:ある物質が吸収する光を、光の成分(波長)ごとに分解し、それぞれの波長が吸収する光の量の関係を示したもの |
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