JALSG 有害事象の報告 -AML97-


          JALSG-ALL97登録症例に有害事象が観察されたのでご報告します。

(12)2001年2月2日報告受付(重症肺炎合併症例の報告)

  【症例】24歳、女性

  【主訴】発熱、呼吸困難

  【経過】

【考察】地固め療法2コース目を実施後のNadir期に、急速に進行する重症肺炎を併発した。血液培養でStreptococcus mitisが検出されたが、各種抗生剤に対する感受性は良好であり、起炎菌か否か明らかではない。喀痰からは有意な菌は検出されなかった。治療開始基準に到達して2日後に治療を開始したが、開始日の白血球及び血小板数は到達日よりも減少していた。Nadir期の血球減少が著しく、十分な回復を待つべきだったかもしれない。

 

 -AML97小委員長 コメント-

地固め療法療法第1コースのnadirに重篤な肺炎を併発したケースですが、クラス100の簡易無菌装置を使用していますし、地固め療法を開始した時期も、当時の立場に戻れば多くのドクターはあの時期で治療に入ると思います。地固め療法の開始をもう少し待った方が良かったとの考もありますが、3系統の細胞の回復を「必ず十分待つ」ようするとかなりの症例で治療間隔が空く心配があります。

今回は次の治療の基準を満たしており、問題は無いと思います。肺炎後の処置も適切と思います。

 


 

(11)2000年11月20日報告受付

【症例】64歳、女性

【入院時検査所見と治療経過】

細菌培養では鼻くう、咽頭よりMRSA陽性。血液培養は陰性であったが、発熱と血圧低下の経過より死因は敗血症性ショックと考えられた。さらに本例は血小板輸血にほとんど反応せず消化管出血をとめることができなかったのが回復しえなかった大きな要因と考えられる。現在、抗HLA抗体および抗血小板抗体検索中である。

<AML97小委員会からのコメント>

上記の症例につきましては、初診時の白血球数が著増していたことが有害事象の最大の誘因と思われます。

何らかの手段(leukapheresisなど)により白血病細胞を減らしてから治療することも考えられますが、この症例では初診時にhyperleukocytosisの症状があったわけではないので、治療を優先させたとしてもやむ得ないと考えます。治療後DICと敗血症を合併しておりますが、その治療は速やかに適切に行われており、やむ得ない有害事象と考えます。結果としてleukapheresisをやっていた方が良かったかなと思われますが、AML97プロトコルにはhyperleukocytosisについて治療指針が書かれていませんでした。これは次のプロトコルから追加した方が良いと思われます。


(10)2000年10月23日報告受付(AML 寛解導入中に脳膿瘍を生じた症例の報告)

【症例】40歳、男性

【入院時検査所見と治療経過】

この症例は脳膿瘍の起炎菌が同定できなかったため詳細な検討はできないが、多発性に生じたことから血行性の散布であろうと思われる。感染予防、感染発症時の対応も特に問題はなかったと思われるが、重篤な、稀な感染症を合併したので報告します。

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<AML97小委員会からのコメント>

白血病の治療タイミング、感染症に対する治療も適切であり、やむ得ない合併症と考えます。


(9)1999年11月11日報告受付/AML97

【症例】50歳、男性

【主訴】全身倦怠感

【現病歴】平成11年7月下旬頃から発熱を認めたため近医を受診し、腎盂腎炎の診断で加療をうけた。その時pancytopeniaを指摘され、平成11年9月1日精査目的にて当院当科外来受診。その時のBMAでAML(M2)の診断で平成11年9月4日当科入院となった。

【入院時検査所見と治療経過】


 (8)1999年11月8日報告受付/AML97

【症例】62歳、男性

【主訴】発熱、咽頭痛、歯肉腫脹

【現病歴】平成11年8月初旬から発熱、咽頭痛、歯肉腫脹が出現。同月17日、近医受診。血液検査で著明なWBC増加と貧血、血小板減少を指摘され当院に紹介入院(8月19日)となった。

【入院時検査所見】

WBC 11,7000(blast 78%), Hb 12.2 g/dl, plt 5,6000, PT 15.6 sec(63.3%), APTT 45.2 sec(control 32.9 sec), CRP 10.3, BUN 20,Crn 1.9, GOT 41, GPT 41, LDH 905, ALP 601, 尿; 蛋白(+), 糖(-)。

 骨髄穿刺では骨髄は過形成でpromonocyteが88.5%を占め、CD 11b, 33, 36,HLA-DR陽性、血清ムラミダーゼ 460 ng/dlなどからAML M5bと診断した。

【臨床経過】


 (7)1999年11月4日報告受付/AML97

【症例】17歳、女性、 高校2年生 

【主訴】発熱、悪心、嘔吐

【現病歴】

【既往症】 3y.o.-多発性内軟骨腫症(Ollier病); 8y.o., 10y.o, 11y.o.時に良性軟骨腫瘍摘出、骨移植、脚延長術。

【経過】


 (6)1999年11月2日報告受付/AML97 死亡症例

【症例】50歳、女性 

【主訴】全身倦怠感、発熱

【現病歴】平成11年8月初旬よりふらつき、食欲不振があり、9月に入り増強したため近医を受診。血液検査で貧血と肝機能異常を指摘され当院へ紹介入院となった。

【入院時検査所見と治療経過】


(5)1999年4月16日報告受付/AML97 consolidation chemotherapy A3施行後に突然死した症例

【症例】36歳、男性 

1998年8月発症のAML(M2)にて8月20日よりJALSG AML97のプロトコールに登録し化学療法を施行しました。入院時ECGは正常範囲、心エコーはalmost normal,EF 67%でした。

Induction therapy 1コース(特に問題はありませんでした)にて寛解になり、randomizationにてA群に登録され、引き続き9月28日よりconsolidation therapyA-1を行いました。 白血球減少時に発熱を来しましたが、抗生剤使用(CZOP+AMK followed by IPM/CS+AMK)にて軽快しました。

10月30日マルクにてCRを確認後、11月2日よりconsolidation therapyA-2を施行しました。コース中特にトラブルはありませんでした。

12月3日ITを行いました。同時に行った腰椎穿刺では細胞数の上昇なく、細胞診でも陰性でした。

12月7日マルクにてCR確認後、12月9日よりconsolidation therapyA-3を施行しました。12月18日頃より膀胱炎症状、血尿が出現し、12月22日に熱発しました。尿細胞診にて封入体細胞認めました。抗生剤(CFPM+AMK followed by IPM/CS+AMK)、グロブリン製剤使用にて炎症反応低下、血尿、膀胱炎症状軽快していました。12月30日6時Ns訪室時通常どおりに会話し、またvital signも問題ない状態でした。付き添っていた母の話では6時15分急に体を硬直させるようにし、意識消失したためNs callをしたがNs訪室時、意識レベルIII-300、自発呼吸なしとう骨動脈触知しませんでした。CPRに反応せず、死亡しました。

蘇生中に行った採血ではWBC 6000 Hb 9.4 plt 50000 CRP 6.0 T-bil 0.4 GOT 19 GPT 37 LDH 389 CK 55 Na 144 K 3.2 Cl 103 BUN 7 Cr 0.9 アンモニア7 chest Xpにて肺うっ血像なし。病理解剖の同意は得られませんでした。

今回の突然死の原因は不明ですが、急性の心不全を来したのではないかとかんがえています。Consolidation therapy A-3にて使用したアクラシノンの関与は否定できないと考えています。


(4)1999年4月7日報告受付

【患者】53歳、男性  / JALSG-AML97寛解導入療法中の死亡

AML(M5a)の診断にて1999年4月3日よりAML97プロトコールを開始。

治療開始直前のデータWBC123500/μl(blast92.0%),RBC283万/μl,Hb8.0g/dl,Plt5.4万/μl,PT78.0%,INR1.15,APTT38.0sec,fibrinogen470mg/dl,AT-III104.8%,血中FDP42μg/ml(基準値0-10)。

治療前からDICを合併していると判断されたため、FOY1500mg/日、血小板輸血を施行しつつ、化学療法を開始した。

4月4日(day2)朝のデータ:WBC105100/μl,RBC269万/μl,Hb7.5g/dl,Plt7.0万μl,PT73.5%,APTT40.8sec,fibrinogen501mg/dl,血中FDP92μg/ml(基準値0-10)。

夕刻よりより息切れ、血性痰の排出、胸部レ線上両側肺野全体に著明なconsolidative shadows を認め、SaO2は76.4%に低下した。

DICに伴う肺出血が疑われ、FOY2000mg/日に増量、AT-III投与、酸素投与を行なった。

同時に肺炎も否定できなかったため抗生剤(PAPM/BP+ISP)を投与した。

4月5日(day3)気管内挿管し、レスピレーターによる呼吸管理を開始した。

4月6日(day4)呼吸不全が増悪し、死亡された。剖検の承諾は得られなかった。

剖検がなされず、呼吸不全の原因は確定できませんでしたが、臨床経過からDICに合併した肺出血が原因と判断いたしました。


(3)1998年11月30日報告受付

【患者】21歳、男性  / JALSG AML97 早期死亡例報告

【主訴】発熱、咽頭痛、出血傾向

【既往歴】特記すべきことなし。

【現病歴】平成10年11月2日、発熱、咽頭痛あり近医受診。検査の結果、白血球増多、血小板減少を認めたため11月12日、当科紹介入院となった。

【入院時現症】意識清明。身長173cm、体重70Kg、皮下出血斑多数あり。眼瞼結膜貧血性、黄疸なし。右扁桃著明に腫大、白苔あり。歯肉腫脹あり。胸部、腹部異常なし。リンパ節腫脹なし。下肢に浮腫なし。

【入院時検査】

  1. WBC 134900/μl,RBC 240万/μl,Hb 7.9g/dl, Hct 23.2%, Plat 1.0万/μl, Blasts 66.0%, Mono 22.5%,
  2. Bone Marrow NCC 53.3万/μl, Mgk 16/μl,Blasts 31.8%, Pro.M 21.8%, Mono 27.8%, Eos 1.6%, Ebl 6.8%, POX(+),α-NB (+)
  3. リゾチ−ム 血清 64.0 μg/ml,尿中 14.6μ/ml
  4. PT 13.4", APTT 31.9", Fibrinogen 136mg/dl, FDP 30.7mg/dl
  5. T.Bil 1.15mg/dl, D-Bil 0.43mg/dl, GOT 61U/L, GPT 25U/L, LDH, 1002U/L,BUN 13.6mg/dl, Crea 0.88mg/dl, UA 6.3 mg/dl, T.P 5.6g/dl, Alb 2.8g/dl, CRP9.31mg/dl

【診断】以上のデ−タからAML、M4、DIC、 急性扁桃腺炎、と診断した。

【治療】JALSG AML 97にて11月13日からプロトコ−ル通り治療。IDA 21.6 mg X3日、Ara-C 180 mg X 7日。DICに対しては、FOY 1500mg/dayを連日投与。感染症に対してはPAPM-BP(チエナム)1000mg/day、AMK400mg/day、Fluconazole 200mg/dayを点滴静注した。

【経過】  

11月12日

13日

14日

15日

16日

17日

18日

19日

20日

21日

22日

24日

WBC

134,400

91,400

14,100

3,300

1,000

700

800

200

200

Hb

7.9

6.4

5.8

5.0

4.7

7.2

6.9

5.8

6.4

Plat

1.0

1.1

0.6

0.3

0.2

0.3

0.3

0

0.5

RBC輸血

2

2

6

2

2

2

Pl輸血

10

10

10

10

20

15

10

15

10

10

IDR

Ara-C

FOY

  

入院時から38-39度の発熱があり抗生剤、抗真菌剤を使用。11/13 胸部レントゲン写真上、両肺野にすりガラス状陰影が軽度出現、血ガスはPO2 65.5 mmHg,PCO2 30.2で白血病細胞の肺への抑留のため肺水腫様病態が生じたものと考え、m-PSLのPulse療法開始。胸部レントゲン写真と血ガスの改善を見た。11/17 鼻出血が両側からあり、耳鼻科医によりタンポン挿入などの処置をしたが、出血は持続した。白除血輸血、血小板輸血を頻回にするも、貧血、血小板の増加は見られず、低フィブリノ−ゲン血症も持続し、AT-V、FFPなども投与した。m-PSL使用後、体温は平熱化した。腹痛などの腹部症状の訴えはなかったが、下血があり、鼻出血もあることから消化管からの出血かどうか決定できなかった。CD-check-D1は陰性であった。

11月20日より、再び38℃から39℃の発熱が出現した。T.Bil、BUN、Creaは徐々に上昇し、11/24にはT.Bilは6.59mg/dlでDirect優位、BUN、Creaは39.0、1.26mg/dlで多臓器不全の兆候を示したが、Fibrinogenは295mg/dl、FDPは3.3mg/mlと改善。胸部レントゲン写真は感染症などの所見は認められなかった。11/24、23:30 突然、心肺停止、挿管して救急蘇生を試みるも 11/25、0時7分に永眠された。剖検の許可は得られなかった。患者の死後、11月20日に行った血液培養の結果、MRSA が検出された。入院時の咽頭、喀痰検査ではMRSAなどは陰性であった。

【まとめ】敗血症による多臓器不全で亡くなられたと考えているが、DICによる脳出血なども否定できないと思われる。白血球数10万以上、DIC合併しており条件の悪い方であったが、若者でありCRを目指して治療を行った。抗凝固療法としてFOYの投与量が不足あるいは低分子ヘパリンを使用した方がよかったのか、また寛解導入療法をプロトコ−ルの通りに行ったが、短縮した方が良かったのか、抗生剤の使い方はこれで良かったのか検討中である。


(2)1998年9月21日報告受付

患者:42歳、女性 / JALSG-AML97寛解導入療法2コース目の死亡例


(1)1998年8月24日報告受付

患者:47才、男性 / JALSG寛解導入療法2コース目の死亡症例


 

 

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